厚生労働省まわりで9月に発表された主な動きを3点まとめます。制度や薬の承認は生活に直結するテーマなので、各主体の公式発表・公開資料をもとに整理しました。

1. アルツハイマー病治療薬「レケンビ」、在宅で自己注射できる皮下注製剤が承認

エーザイ株式会社とバイオジェン・インクは9月16日、抗アミロイドβ抗体「レケンビ」(一般名:レカネマブ)の皮下注製剤「レケンビ皮下注250mgペン」について、日本で新投与経路医薬品としての承認を取得したと発表しました。自己投与できるオートインジェクター製剤で、週1回2本(合計500mg)を投与し、1本あたりの投与時間は約15秒です。これまでは2週に1回、医療機関での点滴(約1時間)が必要でしたが、今回の承認により在宅での自己投与という選択肢が加わりました。皮下注タイプの承認は米国・中国に次いで3カ国目です。医師の処方や、安全性確認のための通院は引き続き必要で、薬価は今後の中央社会保険医療協議会(中医協)での審議を経て決まり、処方開始は11月半ばから12月半ばの見込みです。

2. OTC類似薬の「一部保険外療養」、2027年3月施行の取りまとめ案を了承

厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会は9月16日、OTC(市販薬)と成分・投与経路が同じ医療用医薬品(OTC類似薬)について、薬剤費の4分の1を追加負担とする新制度「一部保険外療養」の取りまとめ案を了承しました。対象は抗アレルギー薬・鎮痛消炎剤・胃腸薬・去痰薬・皮膚保湿剤など77成分1,042品目で、2027年3月1日の施行を予定しています。18歳到達年度末までの子ども、がん・指定難病に関連する治療、生活保護受給者の医療扶助、アトピー性皮膚炎に対する通年のプロアクティブ療法などは追加負担の対象外です。上野賢一郎厚生労働大臣は9月15日の閣議後会見で、この制度導入によって医師がより高額な保険適用薬に処方を切り替える「処方シフト」が起きるのではという懸念に対し、「医師は個々の患者の症状に応じて最適な薬剤を処方することが原則」と述べ、施行後もレセプト情報等を用いて処方数の変化を確認していく考えを示しました。

3. 新型コロナワクチンの健康被害、9月14日の審査で24件中2件を認定

厚生労働省の疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会は9月14日に開催され、新型コロナワクチン接種に関する24件の因果関係を審議し、2件を認定、22件を否認しました(保留はなし)。認定されたのは、18歳男性の心筋炎(医療費・医療手当)と、68歳男性の右視床出血・左上下肢麻痺・高次脳機能障害(障害年金)の2件です。この日の審議結果を含めると、これまでの累計は進達受理件数1万5,642件のうち、認定9,504件、否認4,896件、保留20件となっています。

今月の総括

在宅投与の選択肢が広がる薬事分野の進展と、患者負担の見直しにつながる保険制度改革が同じ月に重なりました。OTC類似薬の一部保険外療養は2027年3月からの施行のため、対象になる薬を日常的に使っている人は、今後厚労省から出る詳細な通知を確認しておくと安心です。

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