福岡発祥のベーカリー「AMAM DACOTAN(アマムダコタン)」が、海外初店舗「AMAM DACOTAN Paris」をフランス・パリ11区に2026年6月20日11時(現地時間)にグランドオープンした。運営は「I’m donut ?」などを展開するpeace put(2015年設立)。同社発表によれば、パリ店は営業時間11〜18時、水曜定休で、店頭に並ぶパンは「約50種類」。日本での定番に加え、パリ限定の新作を「約10種類」用意する構成だ(出典:PR TIMES)。
数字を読み解くと、約50種類という品揃えは「土地に合わせたローカライズ」と「選ぶ楽しさ」を両立させる設計に見える。とりわけ約10種類を新作に振るのは、全体の約2割を現地向けに割く計算で、単なる輸出ではなく“編集”に近い。ベースの生地には現地の小麦と水を使い、具材やクリーム、調味料まで現地食材の特性に合わせてレシピを調整したという。素材制約が多い海外展開で、内製比率を高める方針はオペレーションの難度が上がる一方、味の一貫性とブランド体験を握りやすい。


国内展開との時間軸
同ブランドは2018年に福岡・六本松で1号店、2022年に東京・表参道、2024年10月に京都・烏丸へ出店してきた(同)。初店から海外まで約8年、東京進出からでも約4年の助走がある。さらに「2年以上かけて」計画したとされ、国内で需要を確認しつつ、海外向けの調達・試作・人材配置を前倒しで積んだことがうかがえる。海外初進出の成否は初速の話題性より、数カ月単位での再現性に左右されやすい。営業時間を11〜18時に絞るのも、製造負荷と来店ピークを見極める現実的な設定だ。
日本発パンの“受容”を測る
オープン当日は想定を上回る来店があり、「メロンパン」など日本発祥のパンが人気を集めたという(同)。ここで重要なのは、菓子パン的な分かりやすさが「初回の選択」を取りやすい点だ。パリはベーカリーの選択肢が多い市場で、まず入口商品で試食経験を作り、次に惣菜系サンドやバゲット系へ送客できるかが継続利用の分岐になる。約50種類の中で何が“定番化”するかは、観光客需要だけでなく近隣住民のリピートで輪郭が出る。
日本ブランドの海外出店は、店を増やすほど現地最適と本国品質のバランスが難しくなる。今回の約2割ローカライズと、素材・レシピの現地適応は、その難題に数字で答えを出しにいく試みに近い。旅行者にとっては「パリで日本発のパンがどう変わるか」を体験する場所になり、外食・小売の側から見れば海外展開の設計図として参照されそうだ。



